今回はクライアント：ARさん（仮称）の１回目のリノベーション相談を受けた内容を整理しておきます。
前半をヒアリング編、後半を我々からのアドバイス編として分けております。
リノベーション相談１回目といっても、当社には以前に物件購入の相談をされた過去があり同席したスタッフとは面識がございます。あくまでも”私とは”１回目という意味でございます。
事前のメールでのやり取りは以下の通り。
・札幌市近郊の農村部の中古戸建て物件（築45年）を購入し、リノベーションを施したい。
・既に物件は見学済みで、不動産会社とのやり取りの中で、来月契約・再来月物件引渡しのスケジュールを組まれている。
・物件自体は気に入ったものの、リノベーション業者とは相談もしないまま物事が決まりつつあることに不安を感じ、なるべく早めに私どもに相談したいとのこと。
なるべく早めのご相談がよろしいと思い、急なお話とはなりますが、当日の夕方にお打ち合わせを行う運びとなりました。
我々としては、過去に１度ご相談を受けた経緯があるとはいえ、今回の物件情報・ARさんの理想のライフスタイル／予算観／資金など、ほとんどわからない状況ですので、まずはその辺りのお話をじっくりお伺いすることからスタートしました。
並行して、物件の販売資料、購入申込に至ったARさんなりの決め手、不動産会社と売主様の意向や雰囲気などを聞かせていただきます。
売主様情報
売主様は数年前にご主人様を亡くされた高齢の女性で、息子さん夫婦のもとに移ることとなったため、今回の物件から退去し手放すというお話でした。
すでに退去の準備は進められており、ARさんが物件のご見学に行かれた際にはお家の中の荷物はかなり少なくなっていたとのことです。
不動産業者としては速やかに売買契約をまとめて、引渡し（決済）に進みたいというのは当然のことですが、加えて売主様としてもなるべく早くお話をまとめて整理を終えたいという思いもあるようです。
元々は農家さんでいらっしゃったようで、敷地・建物ともに、都市部の戸建て住宅とは比べられないほど広く、大きな物件でした。
クライアントの要望と不安
ARさんはご主人と奥様、４歳の娘さんの３人家族とペットの猫のいるご家庭で、現在は札幌市内にお住まいです。
過去のご相談の際にも、こちらの物件の近くの物件についてご相談されており、ご夫婦の希望としては都市部を離れてこちらの地域でのびのびと子育て・スローライフを楽しみたいという思いが強いようです。
特に今回の物件で実現したいことをヒアリングさせていただくと、以下のようなものを挙げられておりました。
・薪ストーブを導入したい
・無垢材のフローリングを採用したい
・吹き抜けをつくって、１F〜２Fにかけてよじ登れるようなハシゴ状の本棚、２F〜１Fにかけてスベリ台をつくりたい
・対面型キッチンと大型のパントリー収納
・玄関を広く、玄関脇の１室を大型の玄関土間収納にしたい
・２Fは大型のウォークインクローゼットを設けて、その他は開放的なフリースペースとしたい
他にも、ゆくゆくは外にサウナをつくりたいなど、遊び心いっぱいの理想をお持ちです。
また物件に対しての心配事として
・床下の湿気でカビなどが発生していないか
・耐震性はどこまで補強できるか
・大きな窓を設置できるか
・断熱性能は上げられるか
・総じてどの程度の費用がかかるか
築45年の物件なので当然ではありますが、こちらの点についてもプロの意見を聞きたいとのことでした。
クライアントからの予算削減プラン
またARさんご自身から費用を削減する案として、「業者に依頼するのは最低限にして、リノベーション工事は可能な限り自分自身で行いたい」という発言がございました。
一般的なリノベーション工事や私が過去に在籍していた新築住宅メーカーでも、照明器具の施主支給や壁一面の塗装、棚の取り付けなどは完成引渡し後のDIYとして施行されるケースは多々ありましたが、今回のARさんのお話では構造部分や下地などの部分も自ら行いたい考えがあるとのことでした。
ご自身としては、簡単なDIYの経験はあるとのことで、２〜３年くらいかかったとしても費用を抑えることができるなら・・・ということでした。
後半：我々からのアドバイス編
これまでのお話を聞かせていただき、ざっくりではありますがクライアントの状況や事情、理想の暮らしイメージがつかめてきました。
その上で、こちらからもアドバイスをさせていただきます。
アドバイスといっても「上の立場からこうすべき」ということではなく、クライエントがご存知ではない知識や起こり得るリスクなどを踏まえて、ご計画に成立しない点が無いか・どうすれば成立していくかを対話しながら一緒に組み立てていくイメージです。
続きはリノベーション相談【ARさん１回目：後編】にてご覧ください。